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いざ出陣(コンペの朝)

 皆さんはコンペに出かける朝、どんな風に家を後にするだろうか。 例えば、いつもは寝ているような早い時間に家を立つとき、奥方の暖かい見送りを背に家を後にするのだろうか。 それとも、険悪とは行かないまでも、余りよろしくない雰囲気の家を後にするだろうか。 それとも、一人黙々と家人の寝静まった家を後にするのだろうか。 どのケースもあり得ると思われるが、出来ることなら、最初のケースでいざ出陣と行きたいものだ。 朝の気分というものは、その日一日のプレーに何らかの影響を及ぼすからである。

 そもそもサラリーマンにとってゴルフに出かけること自体が奥方から歓迎されない行為なのである。 日頃から家庭サービスが悪いのに休日にいそいそと出かけていく。 その上びっくりするようなお金を使って自分だけが楽しんでいるのである。 日頃から一円でも安くとスーパーをはしごしてまでして節約している奥方にとって、だんなのゴルフほど忌々しいものはない。 会社のつき合いもあろうかと、旦那の出世を夢見る身として日頃は我慢に我慢を重ねている。 だからコンぺの朝と言えども、特別サービスは期待できないのである。

 コンペの朝、まあまあの雰囲気で家を後にするには、日頃からの心構えが大切である。 ゴルフに夢中になると、休日のたびにコースや練習場に出かけ家族を顧みないばかりでなく、TVでのゴルフ観戦や、ゴルフ雑誌・本に没頭し、家族との会話には全く身が入らない状態となる。 妻や子供のつまらぬ悩み事などに耳をかす気などこれぽっちも起こらない。 これでは家族からすれば、ゴルフをすること自体が罪悪に思えてくるのも無理はない。 もしあなたがこれに該当するようであれば、今日をもって悔い改め、家族(特に奥方)の気持ちをつかむように変身しようではないか。

 日頃から家族の会話に積極的に参加するばかりでなく、休日には、子供が小さければ遊園地に、少し大きければ日帰り温泉にとサービスにこれ努めようではないか。 子供がもっと大きくなれば、逆に相手にしてくれなくなるから、奥方の買い物につき合うなんてのはどうだろうか。 慣れないことだけに大変である。 しかし、これだけでは十分ではない。 ゴルフというものを共通の話題に出来るような環境作りが大切である。

 奥方にとっては旦那のゴルフのことなど全く興味がない。 したがって、目を輝かして乗り出してくるなんてことは期待できないが、何となく会話が出来るようになればよいのである。 奥方の知っている人の話題やプレーで起きた様々な出来事を脚色して面白おかしく聞かせたり、部長とか、常務とか上司の名前をちらちらまじえて会社生活でのゴルフの重要性をにおわせたりするのである。 日頃からこの様な努力を積み重ねておくと、コンペが近づくと多少なりともその話題がキッチンテーブルで交わされることになる。 「今度こそ優勝してやるぞ」なんて意気込みを語ればそれなりに盛り上がりを見せてくるはずである。

 さて、コンペの朝、日頃の努力は実を結んだであろうか。 車で迎えに来てくれた同僚ににこやかに挨拶し、「頑張ってね」などと手を振る奥方に送り出されたであろうか。 こんな理想的なケースまではいかなくても、日頃の努力が実を結び、まあまあ和やかな雰囲気の内に家を後にし、「いざ出陣」と来るべきスタートに向けて気を引き締めることが出来るようになれば、あなたの優勝も間近である。 


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