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ゴルフ場での朝の練習

 ゴルフコンペの集合時間はかなり早く設定されていることが多く、また、たいてい早く着き過ぎてしまうものである。 したがって、練習する時間が全くないというケースはまれで、少なくとも練習グリーンでのパッティング練習は欠かせないものとなっている。
 さて、久しぶりにゴルフクラブを握る人も、今日に備えて打ち込んできた人も、その違いはあれ今日のショットへの不安から、打ちっ放しの練習場に足を運ぶことが多い。 多くの人は、1コインあるいは1箱ぐらいのボール数で、軽く肩慣らしをすることになるが、なかには、何箱ものボールで調整に余念のない人もいる。 その人なりのやり方があり、また、その時の諸々の状態にもよることなので、善悪はいえないが、朝の練習場で、あれこれ悩みながら調整するのは、ことすでに遅しの感はまぬがれない。

 私の場合は、アプローチウェッジ、9番、7番、5番、1番Wそれぞれ数発ぐらいで軽く流し、1コインで打ち切ることにしている。 むしろアプローチの練習に重きを置いてである。 なかには、ティーショットへの不安から、1番Wを数多く打っている人を見かけるが、むしろ、いい当たりが連発したら打ち切るぐらいの方が良い。 調子が良いからといって、打ち続けていると、ちょっとしたミスショットが引き金になって、全く調子を落とすことがあるので要注意である。

 あるコンペの朝の練習場のことである。 私のショットはすこぶる調子が良く、1番Wのショットは自分でも惚れ惚れするほどで、うしろで見物する観客の賞賛の野次に気を良くして打ち続けた。 ところが、いざ本番になってみると、練習場での当たりはどこへやら、右へ、左へと、とんでもない当たりばかりである。 こんなはずは無いと思えば思うほどボールは意図しない方向へばかり飛んでいく。 寄せやパットで何とかしのぎ、それほど恥ずかしいスコアにはならなかったものの、肩を落として帰路に着いたことを覚えている。
 そうかと思えば、逆のケースもある。 練習場ではどうもしっくり行かず、まともにクラブに当たらない状態であったものが、本番ではうそのようにいい当たりが連発したりする。 ことほどサラリーマンのゴルフ練習場での出来は、本番での出来と同様当てにならないものなのである。

 したがって、私は、練習場には体を温めるためにいくような気持ちを持つことにしている。 もちろん、練習場での出来は気になるものであるが、出来が良くても悪くても(悪い方が多い)なるべく気にせず、本番では何とかなるさと自分に言い聞かせるのである。 と言うのは、本番では練習場で感じるほどミスショット感が強くないのではなかろうか。 練習場では少しでも曲がったり、当たりが悪かったりすると気になるものだが、本番では少々曲がろうがフェアウェーに残ればナイスショットであり、時にはOBにならずにすめば「ああ良かった」ということになる。 要するに、そのホールをトータルでいくつという世界であるので、一打の重みを軽く感じることもできるのである。 練習場での一打一打に、一喜一憂することはないのである。

 練習グリーンでの練習にも要注意点がある。 ひとつは、朝早いときの気温とか昨日の影響とかに基づくグリーンコンディションとプレイを開始した後のコンディションの違いであり、もうひとつは、練習グリーンと本グリーンの芝の刈り込み状態の違いである。 いずれにしろ、練習グリーンでの玉の転がり方を過信してしまうと、本番でしっくり行かないときに自信を喪失しかねないのである。 練習グリーンと本グリーンではコンディションが違うこともありうることを覚悟すべきで、管理の悪いゴルフ場では、ホールごとにグリーンコンディションが違うこともありうるのである。

 朝のゴルフ練習場で、気負わず、あわてず、軽い気持ちでクラブを振り、体をほぐして来るべき本番に備える。 悪いショットが出ようとも、本番ではうまくいくはずと思い、いいショットが出れば当然のことと思う。 そんな気分で練習を終え、和やかな気分で本番前のミーティングに足を運ぶ。 そんなことができるようになれば、あなたの優勝も間近である。


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