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パターは金なり

 プロのトーナメントで、よくパッティングの重要性が表題のように解説される。 バーディーパットが、あるいは、しのぎのパーパットが入るか入らないかで勝負が決まるのである。 テレビ解説の戸張氏が最終パットをするゴルファーの画像にかぶせて、このパットは、ウン百万円の価値がありますよなどと言うのを良く耳にする。 なんとも不愉快な言葉であるが、言われなくても、パターの重要性はゴルファーなら身にしみている。 パッティングの善し悪しが次のティーショットに、ひいてはラウンド全体に影響を及ぼすことは、日頃のラウンドで重々経験済みである。 パットの重要性は何も最終パットだけではないのである。

 さて、パッティングに関してはアマがプロに最も接近できるショットのような気がする。 確かに、飛距離を気にする必要がないしOBは無く、距離感と傾斜、芝の読み程度でストローク出来るからである。 しかし、これはトップクラスのアマの話であって、我々一般サラリーマンゴルファーではプロの足下にもおよばない。 プロのパッティングのボールの転がりの良さ、距離感の良さ、ラインの読みの良さはTV観戦で良く分かると思う。 しかも、彼らは優勝をかけての強いプレッシャーのもとでストロークしているのである。 日本の一流男子プロの平均パッティング数は1.7-1.8と言うところであるが、我々のそれは2を大きく上回っているはずである。 もし、その差が0.5あるとしたら、パッティングだけで1ラウンドで9打も差が出てしまうことになる。

 従って、アマ同志の対戦でもコンペで優勝するには、いかにパッティング数を減らすかが大切となる。 しかも、パッティングが崩れ出すと全体がめろめろになることは前述したとおりである。 私はここで、専門的な技術論を展開する積もりはない。 それらは、著名な専門家の著書をお読みいただくとして、私の経験上の技術ポイントを述べることとしたい。

 私がパッティングで一番注意しているのは、バックストロークでパターのヘッドの動きを目で追わないことである。 バックストロークで真っ直ぐ素直にヘッドを引くことは意外に難しい。 そこで、ついついうまく引けているかどうかを目で追ってしまう。 ヘッドを目で追うとその結果としてヒットするときにもヘッドを目で追ってしまい、ヘッドアップにつながる。 弱々しいボールが、ホールの右サイドをスライス気味に抜けていくときの寂しさよ。 こんな極端でなくてもなにがしかの目や顔の動きが生じやすいのがパッティングのバックストロークであり、ここで目をしっかりボールの上に固定しておくと、不思議なことにボールをヒットした後もヘッドアップが起こらず、2,3メートル以内の距離であれば、ホールにボールが吸い込まれてもまだボールの無くなった箇所を見ているなんてことも起こりうるのである。

 もう一つ上げたいことがある。 バックストロークを始動するとき両目でしっかりボールを見ていることが大事であるが、もう一つの目(心の目とも呼ぶべき)ではホールを見ることである。 極く短いショートパットでは目でしっかりボールを見ていても、ホールが視野の中に入ってくるのでそこに意識を集中する。 長い距離のパットであれば、自分が決めた目標なり方向を目で見るのではなく、意識で見るような感じを持ってそれに向けてしっかりストロークする。 最終的には、入るはず、入れるんだと言う気迫と自信が何よりも大切で、これが決まりだしたら、あなたの優勝は間近である。


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