目 次 

残り110-140ヤードが一番易しい

 ピンまでの残りの距離がピッチング、9番、8番、7番の距離になると、技術的にも精神的にも安定してショットが打てる(はず?)。 そのときの距離が、人によってまちまちであるが、平均的サラリーマンの場合110から140ヤードということになろうか。

 さて、練習場で皆さんはコントロールショットの練習をどれだけするであろうか。 もちろん、コントロールショットがスコアメイクの上でいかに大切かということは重々承知している。 しかし、通常のショットもままらない身では、どうしてもフルショットの練習が中心になっているものだ。 なかでも、上記アイアンでのショットは安定したスイングで振り抜けるし、練習場に設けられたグリーン、もしくはグリーンもどきに立てられたピンを狙ったショットを数多くこなしているはずである。 なぜなら、6番以上になるとだんだん精度が悪くなるどころか、きちんとボールを捕らえることが難しくなってくるので、ピンを狙うというよりは、むしろボールをとらえる練習が主になってくるからである。 したがって、実プレーにおいても、練習をつんでいるこの距離、これらのクラブが最もプレーヤーから愛されることになるのである。

 さらに、練習場で一般的には皆さんが出来ない練習に、傾斜のある場所からのショットがある。 ところが実プレーでは、傾斜のない場所からショットすることのほうが少ないのである(ティーショットは別にして)。 傾斜のあるところからのショットについては、別に述べたいと思っているが、要はしっかりとボールをヘッドで捕らえることが大切である。 こんなときにも、7番アイアン以下のショットであれば、比較的自信を持ってのぞめるというものである。

 グリーンを比較的自信を持って狙える距離になって、いよいよ自分の打つ順番になり、アドレスに入ったときあなたは何を考えているであろうか。 たくさんのチェックポイントを頭に浮かべそれを実行しようと躍起になっている人も居るかもしれない。 風向きをあれこれ気にしてどう打とうかと迷っている人も居るかもしれない。 でも、多くの人は、無心である・・・といえば格好いいが、何も考えていないのではないかと思う。 順番が来たから打つ。 行き先はボールに聞いてくれ。 ・・・・・・・・。 この距離、このクラブ、こんな調子で結構うまくいったりするものだ。 しかし、この距離このクラブといえども失敗は付き物である。 失敗してから気が付く。 何でこんなことをしてしまったのだと。

 もちろん、何も考えずに、自然に打って良い結果が出ることが理想である。 確かに、技術面であれこれ悩みながら打つショットの結果は明らかである。 恐れていたとおりのミスショットになる確率が高い。 したがって、せいぜいワンポイントのケアぐらいが関の山である。 例えば、バックスイングで前に突っ込む癖があった私は、糸で首を後上方からつられているような感覚を持ってスイングしていた時期がある。 こうすると、前に突っ込まなくなるだけでなく、軸もゆれなくなるという効果があったように思う。 この感覚をある後輩にコンペ前に話したところ、早速それを実践した彼に優勝をさらわれてしまったことがあった。 技術面での効果もさることながら、一点をケアすることによって全体的な集中力の高まりが生じたのではないかと思っている。 優勝のスピーチでこれを披露する彼の言葉を聴きながら、負けた悔しさを上回るうれしさを感じたのであった。

 さて、技術面でのケアとともに、私が重要だと思うのは集中力である。 この距離になるとのって当たり前の感覚で、漫然とショットをしてしまいがちで、気が付くととんでもない方向にボールが飛んでいたということになりかねない。 アドレスに入る前から集中し、自分の打つべき方向をしっかり脳裏に刻む。 そして、アドレスからボールをヒットするまでしっかりとボールを見続けると共に、心の目は、グリーンの狙った場所を見続けるのである。 これは、パッティングのところでも述べたが、この感覚を持つことにより、クラブヘッドを狙うべき方向にまっすぐ振り抜くことが出来るのではないかと思う。 かって、村上プロがTVで、「ピンを狙うときはピンの右2mぐらいの方向に打ち出す位置に立ち、実際は、ピンを狙って打つのが良い」と述べていた。 この真意を完全に理解しているかどうかは別にして、2mという単位で狙う方向を定めるということは、かなり感覚をシャープにしなければ出来ないことだと思う。

 パーファイブの3打目、手には得意の8番。 昇り傾斜に風もある。 でも、迷わず狙った方向にクラブを振りぬく。 ボールは、狙い通りにピンよりもセンターよりのまあまあの位置にオン。 なんてことが続くようになれば、あなたの優勝も間近である。


 目 次